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Okuchichibu hike with Glenvp&愚蓮隊 Day3 完結編

3日目、しとしと降る雨の中避難小屋を後にする。
晴れていれば苔蒸した森と時折見える富士山の威容を楽しめる絶好の道なのだけど、濃霧の中をひたすら行進して行く一行。
glenにも「晴れてればここから富士山がよく見えるんだ」と説明する。

遠くから参加している人にこの道の素晴らしさを体感してほしかったので僕は「晴れてればなあ残念だなあ」と消沈していた。
ところがBeyondさんの「いやあ気持ちええねえ!」と(半袖で)はしゃいでいる姿を見て、ああこの人達は天気がどうであれ山を楽しめる人達なんだと気づいて嬉しくなった。

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奥秩父ハイカーにはおなじみの雁坂峠へ。
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雨装束は一番個性が出て面白い。
glenはDry ducksのジャケットにCubenのレインチャプスだった。

そして本当は4日間の行程だが僕はここで皆と別れて下山しなければならない。
広瀬湖側に下りるか秩父湖側に下りる悩んでいたがChiyochangの「秩父湖側の川又に下りるのが楽だ」という助言に従うことに。

その結果たいへん愉快な出来事に遭遇する事となる。

後日三鷹で予定されているHiker`s partyでの再会を約束して一行と別れた。
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この先は特に難しい箇所もない樹林帯の下りだ。
雨にそぼ濡れながらとぼとぼ歩く。
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この3日間の事を思い出すとつい笑みがこぼれてしまう。
いつも通りのソロ歩きに戻っただけなんだけど、なんだか感傷的になってしまった。
暖かさに慣れてしまうとそこから抜け出すのがつらくなる。
まるでこたつみたいだなと独りほくそ笑む。
こんな山の中でこんな事に気づかされるとは思っていなかった。
いやむしろ非日常の山の中だからこそなのかなと、これぞ一人歩きの醍醐味とも言える思考のループにはまっていた時だった。

さほど急でもない下り坂の前方30メートルほど先にモコモコした黒い物がいる。
目が合った途端向こうも「あっ」という顔をした。
次の瞬間にはその物体は横の藪に飛び込んで消えていった。
ガサガサという藪をこぐ音を残して。

熊だ。

そのあとたっぷり5分は様子を見てじっとしていた、というより足がすくんで動けなかった。
今から来た道を引き返すのは現実的ではない、進むしかない。
僕は熊鈴があまり好きではないうえに今回は集団だったので持たなかった。
とにかく腹から「うおっ!うおっ!」と声を発して存在を示しながら歩いた。
ちょうど前日に土屋さんに習ったコールだ。

もう藪から小鳥が飛び立つ音で心臓が止まる思いだった。

樺避難小屋、突出峠、岩道場を経て川又へとたどり着いた。
いまだ経験した事のない類の疲弊した身に待っていたのは、次のバスが来るのが3時間後という現実だった。
6キロほど先の秩父湖バス停まで行けばバスがあるらしいのでしかたなく歩く。
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結局2時間ほど舗装路を歩き、バスに乗り西武秩父駅へと辿りついた。
この下山時の出来事のおかげで忘れられない印象深い山行となった。

この山行の誘いがあった時錚々たるメンバーを聞いて、正直僕は断ろうかと思っていた。
僕なんかよりスキルがあって道具に詳しい魅力的な人が沢山いるのを知っているので、おこがましいという思いともったいないという気持ちがあったからだ。
でも今となっては参加して本当に良かったと思っている。

感謝をこめて。




後日談・・・翌日まで歩く予定だった他のメンバーも結局夜まで歩いてこの日のうちに下山したらしい。
       glenの装備では雨に濡れてもう一泊するのは厳しいだろうとの理由から。
       事前に気温は伝えてあったがあの湿度の高さから来る冷えはglenの想定外だったようだ。

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再見       




by yasler | 2011-03-05 02:17 | 歩記
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